
母の着物から・・・
私の母は、茶道・華道・着付けを習っていたので、
着物を着ることが多く、そのため多くの着物と帯も持っていました。
その母を見ていた私も着物が好きで、
機会があれば母に着付けてもらっていました。
しかし、母と同じように着付けを習う時間に余裕はありませんでした。
その母がなくなり、母が残してくれた着物と帯…
高価なものだけに簡単に処分してよいものか、
どうすることもできず8年が経ってしまいました。
そして、昨年の春、私も退職し時間に余裕が出てきたときに、
いつも会っている仲間との食事会がありました。
その中に私が尊敬している先輩が、
退職後、新たな仕事をしていることを知りました。
その仕事とは、ここ「いち瑠」のスタッフとして働き始めていることを
話してくれました。
そこで、私は母の着物と帯のことを相談したところ、
「お母さんの着物をあなたが着ればいいじゃん。お母さんも喜ぶよ。」
と言われ、すぐに「いち瑠」に行くことを決めました。
着付けを習い始めて、まずは母の着物を持っていき診てもらいました。
8年間タンスの中にしまっておいたので、
黄変が出て着られないものもありましたが、
先生方から「良いものをお母さまは持っていましたね。」
という言葉をいただき、
今まで母の着物を処分しようと思っていた自分ではなく、
母が残してくれた着物を自分が着ることで、
母の思いを受け継ごうと思いました。
数十年昔の着物でも洗い張りをして新しくなることから、
姉にもその話をして、母の大島紬を2人で分け着ることにしました。
さらに、着付けを習っていくうちに
「自分で着物を着られるようになる」だけでなく、着物や帯の産地のこと、
季節の着物のこと、織りと染めのことを学びました。
作家さんや問屋さんから伝統を受け継ぎながら
新しい伝統を作り出している職人さんの思いを聞くことで、
「着物を着る」という思いが変わってきている自分に気づきました。
着物を着るということは、
作り手の苦労や思いを着ることで伝統を受け継いでいるのだと。
母が残してくれた着物や帯、
新しく購入した着物や帯・小物をこれからも大切にしていこうと思います。そして、次の世代へ引き継いでいけるといいなと思っています。
※ここでは生徒さんから寄せられた過去の素敵なきものエピソードを順次紹介しております。
(リアルタイムのお話ではございません)