きものエピソード

いちるのやま
2026/03/25 12:00

きものエピソード57

母の着物から・・・

私の母は、茶道・華道・着付けを習っていたので、
着物を着ることが多く、そのため多くの着物と帯も持っていました。

その母を見ていた私も着物が好きで、
機会があれば母に着付けてもらっていました。

しかし、母と同じように着付けを習う時間に余裕はありませんでした。
その母がなくなり、母が残してくれた着物と帯…
高価なものだけに簡単に処分してよいものか、
どうすることもできず8年が経ってしまいました。

そして、昨年の春、私も退職し時間に余裕が出てきたときに、
いつも会っている仲間との食事会がありました。
その中に私が尊敬している先輩が、
退職後、新たな仕事をしていることを知りました。
その仕事とは、ここ「いち瑠」のスタッフとして働き始めていることを
話してくれました。

そこで、私は母の着物と帯のことを相談したところ、
「お母さんの着物をあなたが着ればいいじゃん。お母さんも喜ぶよ。」
と言われ、すぐに「いち瑠」に行くことを決めました。

着付けを習い始めて、まずは母の着物を持っていき診てもらいました。
8年間タンスの中にしまっておいたので、
黄変が出て着られないものもありましたが、
先生方から「良いものをお母さまは持っていましたね。」
という言葉をいただき、
今まで母の着物を処分しようと思っていた自分ではなく、
母が残してくれた着物を自分が着ることで、
母の思いを受け継ごうと思いました。

数十年昔の着物でも洗い張りをして新しくなることから、
姉にもその話をして、母の大島紬を2人で分け着ることにしました。

さらに、着付けを習っていくうちに
「自分で着物を着られるようになる」だけでなく、着物や帯の産地のこと、
季節の着物のこと、織りと染めのことを学びました。

作家さんや問屋さんから伝統を受け継ぎながら
新しい伝統を作り出している職人さんの思いを聞くことで、
「着物を着る」という思いが変わってきている自分に気づきました。

着物を着るということは、
作り手の苦労や思いを着ることで伝統を受け継いでいるのだと。

母が残してくれた着物や帯、
新しく購入した着物や帯・小物をこれからも大切にしていこうと思います。そして、次の世代へ引き継いでいけるといいなと思っています。


※ここでは生徒さんから寄せられた過去の素敵なきものエピソードを順次紹介しております。
(リアルタイムのお話ではございません)

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