いちるのもり
2025/02/26 12:00
きものエピソード11

成人式
私は普段は美容師として美容室で仕事をしている。
この仕事において年に一度のイベントのひとつが成人式だ。
一年前から半年前になると成人式を迎えるお客さまの予約が入るようになる。
“今年もこの次期が来たな”と楽しみ半分、緊張半分で気が引き締まる。
就職して3年目になるが、毎年ヘアメイクと着付けのお手伝いをしている。
その年ごとに流行など色柄やスタイルなど好まれるものが少しずつ変わってくるものの、
お客さまやそのご家族、私たちスタッフのわくわくする気持ちは毎年変わらないな、と思う。
成人式の日、当日は早朝5時から始まりあわただしい。
その中で、支度が終わった娘さんをお母さまやおばあさまが迎えに来られる瞬間が、
私を「この日に関われて良かった」という気持ちにさせてくれる。
ある方は、おばあさまの代から振袖を引き継いで今日来ているんです、ということだった。
とても嬉しそうに少し目を潤ませたご家族を見ると、こちらもじーんとしてしまう。
その振袖も時代の流行など関係なく素敵で、とても大切にしまわれていたんだな、と感じた。
そういった、そのお家ごとの歴史や想いがこもっている、
というところがお着物のすごいところだと思う。
また洋服と異なる点でもある。
着付けを習い始めて得た知識がなければ、
そのひとつひとつに感動することはおそらくなかったと思うし、
まさに「一生もの」の知識なんだなと感じた。
去年より今年、今年より来年、
さらに自分のお着物の知識と技術をレベルアップさせて、
また成人式を迎えられるといいと思う。
※ここでは生徒さんから寄せられた過去の素敵なきものエピソードを順次紹介しております。
(リアルタイムのお話ではございません)
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